腰部捻挫(腰椎捻挫)
腰部捻挫(腰椎捻挫)とは?定義と特徴
【腰部捻挫(腰椎捻挫)とは?定義と特徴】
腰椎捻挫の特徴は以下の通りです。
- 急激な痛み:発症の瞬間に鋭い痛みが走ります。
- 動作時の激痛:安静にしていると痛みが軽減しますが、立ち上がる、座る、寝返りを打つなどの動作をすると激しい痛みが起こります。
- 足への放散痛やしびれはない:基本的に損傷部位は腰部周囲に限られるため、足先まで広がる痛み(放散痛)やしびれはありません。
腰部捻挫(腰椎捻挫)主な原因:なぜ突然起こるのか?
腰椎捻挫は、特定の動作が引き金になることが多いですが、その背景には日頃からの腰への負担の蓄積が潜んでいます。
【直接的な誘因】
突然の負荷が引き金となる動作です。
- 急に重いものを持ち上げる
- 体を強くひねる(ゴルフのスイングなど)
- 不用意に中腰になる
- くしゃみや咳をする
- 無理な体勢で起き上がる(寝返りを打つ)
【間接的な要因】
腰椎に負担をかけ続ける、根本的な問題です。
- 長時間同じ姿勢でのデスクワーク
- 腹筋や背筋といった体幹筋力の低下
- 疲労の蓄積
- 猫背などの不良姿勢
普段から腰の筋肉や靭帯が硬くなっていたり、筋力が低下していたりすると、少しの負荷で耐えきれな
くなり、腰椎捻挫を発症しやすくなります。
腰椎捻挫の症状と椎間板ヘルニアなどとの鑑別
腰椎捻挫は通常、数日〜数週間で徐々に改善しますが、以下のような症状がある場合は、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった別の重篤な病態である可能性があり、すぐに整形外科を受診する必要があります。
【すぐに受診が必要な危険な症状】
腰椎捻挫と異なり、以下の症状が見られる場合は、神経が圧迫されている可能性があります。
- 足への放散痛やしびれ:腰だけでなく、太ももやふくらはぎ、足先まで広がる痛みやしびれがある。
- 筋力低下:片足または両足に力が入らない、足首を動かしにくいなどの麻痺症状がある。
- 排泄障害:排尿・排便が困難になる、または意図せず漏れる(膀胱直腸障害)。緊急手術が必要な可能性が高いため、すぐに受診が必要です。
「ただのぎっくり腰」だと自己判断せず、足にしびれや麻痺がある場合は必ず整形外科を受診してください。
腰椎捻挫になったらまず何をすべき?発症直後の正しい対処法
腰椎捻挫を発症した場合、特に痛みが最も強い急性期(発症から48~72時間以内)の対応が、回復を早
める鍵となります。
1. 安静(Rest)と冷却(Ice)
炎症を抑えることが最優先の処置です。
- 安静:無理に動かず、痛みが最も少ない楽な姿勢で横になります。膝の下にクッションや座布団を入れて仰向けになる姿勢が負担が少ないです。
- 冷却:患部(痛みのある場所)にアイスパックや氷嚢を当てて冷やします。1回15〜20分程度を目安に、感覚がなくなるまで冷やし、これを数時間おきに繰り返してください。
- 注意点:マッサージは炎症を悪化させるため、絶対にやめてください。
2. 薬物療法と装具の使用
痛みをコントロールし、患部を保護します。
- 消炎鎮痛剤:整形外科では、痛みを抑えるために消炎鎮痛剤(内服薬や坐薬)や湿布薬が処方されます。
- コルセット:コルセットを着用することで、腰椎の動きを制限し、損傷した組織への負担を軽減できます。医師や理学療法士に相談し、適切なものを選んでください。
腰椎捻挫の治癒期間と病院での治療法
腰椎捻挫の症状が落ち着いた後、再発を防ぎ、完全に回復するためには、適切な治療とリハビリが重要です。
治癒期間の目安
腰椎捻挫は、一般的に2週間程度で日常生活に支障がないレベルに回復し、完全に症状が消失するまでに
は2~3ヶ月ほどかかります。長引く場合は、4~6ヶ月かかることもあります。
症状に合わせた治療のステップ
治療は炎症の状態によって変わります。
1.急性期(発症直後):炎症と痛みの鎮静化を目的とし、安静、冷却、薬物療法、装具療法を行います。
2.亜急性期(数日後):炎症が治まってきたら、患部の血行促進を目的とした温熱療法(ホットパックな
ど)や、痛みのない範囲での理学療法(リハビリ)を開始します。
3.回復期(数週間後):痛みが軽減したら、根本的な原因の改善と再発予防のため、運動療法(体幹の筋力トレーニング、ストレッチ)によるリハビリテーションを本格的に行います。
当院では、国家資格を持つ理学療法士が患者様一人ひとりの症状と原因に合わせた運動指導を行い、腰椎捻挫の早期回復と再発予防をサポートします。
腰椎捻挫の予防と再発を防ぐための生活習慣
一度腰椎捻挫を発症すると再発しやすいと言われています。日頃からの予防策を生活に取り入れましょ
う。
1. 正しい姿勢と動作の工夫
- 物を持ち上げる時:腰を曲げるのではなく、膝を曲げてしゃがみ、荷物を体に引きつけてから立ち上がる。足の筋肉を使うことを意識します。
- 座る時:深く腰掛け、膝が股関節よりも少し高くなるように調整し、背中を丸めすぎないように注意します。
2. 体幹の柔軟性と筋力強化
硬くなった筋肉は損傷しやすいです。日頃から以下のストレッチや筋力トレーニングを行いましょう。
- 体幹トレーニング:インナーマッスルを鍛えるドローインやプランクなど。
- 柔軟性の維持:股関節(特に腸腰筋)、太ももの裏(ハムストリング)、背中周りのストレッチを習慣化します。


