手指変形性関節症
【1.手指変形性関節症とは?】
「手指変形性関節症(しゅしへんけいせいかんせつしょう)」は、手の指の関節を覆う軟骨が長年の使用や加齢によってすり減り、関節の骨が変形していく病気です。指に痛みや腫れ、動きの制限が生じ、日常生活の質(QOL)を大きく低下させます。
この疾患は、関節の変形が起こる場所によって、以下のような呼び方で広く知られています。
- へバーデン結節
- ブシャール結節
指の先端に近い、一番目の関節(DIP関節)に生じる変形です。最も多く見られるタイプです。
指の真ん中にある、二番目の関節(PIP関節)に生じる変形です。
特に更年期以降の女性に多く発症する傾向があり、「指が痛む」「指が曲がってきた」といった症状で悩まれている方は少なくありません。
【2.知っておきたい手指変形性関節症の主な症状】
手指変形性関節症の進行によって現れる主なサインには、以下のようなものがあります。
- 指の痛みと腫れ
- 関節の変形(結節の形成)
- 指の動きの制限
- 水ぶくれ(ミューカスシスト)
初期は指を使うときにだけ痛みを感じますが、進行すると安静にしていてもズキズキとした痛みが続くことがあります。関節が炎症を起こしている時期には、熱感や腫れを伴うこともあります。
軟骨が失われた部分を補うように骨が異常に増殖し、関節の周囲に**硬いコブ(結節)**ができます。これが「へバーデン結節」や「ブシャール結節」と呼ばれる変形の正体です。
変形や炎症によって、指が曲げにくくなったり(屈曲障害)、完全に伸ばしきれなくなったりします。細かい作業や、瓶の蓋を開けるといった動作が困難になります。
変形した関節の周囲に、ゼリー状の液体が溜まった小さな水ぶくれができることがあります。
【3.発症の原因:なぜ指の関節が変形するのか?】
手指変形性関節症の原因は一つではありませんが、主に以下の要因が関係していると考えられています。
- 加齢と指の酷使
- ホルモンバランスの変化
- 遺伝的要因
軟骨は加齢とともに弾力性を失い、摩耗しやすくなります。長年にわたり指を頻繁に使ってきた方や、指に強い負荷がかかる作業を続けてきた方は、関節の老化と損傷が早まる可能性があります。
閉経後の女性に多発することから、骨や軟骨を保護する作用を持つ女性ホルモン(エストロゲン)の減少が、関節の変形を進行させる大きな要因と考えられています。
家族内で同様の症状を持つ方がいる場合、体質的な要因が関与している可能性も指摘されています。
【4.検査と診断:関節リウマチとの違い】
指の痛みや腫れを訴えて医療機関を受診された場合、まず問診と指の状態の確認(視診・触診)を行います。
診断の確定には、主にX線(レントゲン)検査が用いられます。X線画像で関節の隙間(軟骨部分)が狭くなっているか、骨の変形(骨棘)が生じていないかを確認します。
特に重要なのは、症状が似ている関節リウマチとの鑑別です。関節リウマチは指の付け根の関節(MP関節)を侵すことが多いのに対し、手指変形性関節症は「へバーデン結節」に代表されるように指の先端の関節に好発するという違いがあります。正確な診断のために、必要に応じて血液検査を行うこともあります。
【5.手指変形性関節症の適切な治療法】
変形性関節症の治療は、痛みを抑え、関節を保護して病気の進行を遅らせることが中心となります。主に保存的治療が行われます。
痛みのコントロール
- 薬物療法
- 注射療法
- 温熱療法
炎症や痛みを抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服薬や、湿布、塗り薬などの外用薬を使用します。
痛みが非常に強い場合や腫れがひどい時期には、炎症を鎮めるためのステロイドの関節内注射が一時的に効果的です。
患部を温めることで血行を改善し、痛みの緩和をはかります。
関節の保護と安定
- 装具療法・テーピング
痛む関節を適切にテーピングで固定したり、専用の装具(スプリント)を使用して安静を保つことは、局所の負担を減らし、痛みの軽減に非常に有効です。
重度の痛みに対しては、痛みの信号を遮断する神経ブロック療法を検討する場合もあります。
【6.予防と日常生活でできる注意点】
指への負担を減らすことは、症状の悪化を防ぐ上で極めて重要です。
- 指の使い方を見直す
- 作業中の休憩
- 冷えから指を守る
・強い力で「つまむ」動作は極力避け、ハサミや補助器具を使って作業しましょう。
・重い荷物を持つ際は、指先に力が集中しないよう、手のひら全体で持つことを意識しましょう。
・長時間にわたり手を動かす作業を行う際には、1時間につき10分程度は指を休ませる時間を作りましょう。
・血行不良は痛みを悪化させることがあります。水仕事の際は手袋をするなど、指を冷やさないよう保温に努めましょう。
指の痛みや変形は放置せず、お早めに医療機関でご相談ください。
横浜市緑区にあるかたの整形外科クリニックでは、日本整形外科学会認定の整形外科専門医が、診療にあたっています。
当院は、精密な診断のための画像検査設備に加え、理学療法士による専門性の高いリハビリテーションを提供し、痛みの改善から根本的な動作の修正、再発予防までトータルでサポートします。
「手や指が痛いけれど、どこに相談すればいいか分からない」と迷われている方は、横浜市緑区・十日市場の当院に、お気軽にご相談ください。

