扁平足
【扁平足とは】
「土踏まずがない足」と聞いて、ご自身の足が気になった方もいるかもしれません。それがまさに扁平足(へんぺいそく) の特徴です。足の裏には、歩行時の衝撃を吸収し、分散させるためのアーチ構造(土踏まず)があります。これは、赤ちゃんの頃にはまだ形成されておらず、歩行によって徐々に形成されていきます。一般的に8歳頃までに完成するとされていますが、この時期を過ぎても土踏まずが十分に形成されない場合、小児扁平足と診断されることがあります。しかし、扁平足は子供だけのものではありません。一度形成された土踏まずも、以下のような要因によって崩れてしまうことがあります。
- 運動不足
- 体重増加
- 加齢
- 長時間の立ち仕事や歩行
- 足に合わない靴:
足裏の筋肉が衰えることで、アーチを支える力が弱まります。
足にかかる負担が増大し、アーチが潰れやすくなります。
足の腱や靭帯が緩み、アーチが低下することがあります。
足に継続的な負担がかかることで、アーチが維持しにくくなります。
足の指が使われにくい靴や、足裏をしっかり支えない靴は、扁平足を悪化させる原因となります。
扁平足は、直ちに歩行に大きな支障が出るわけではありませんが、足のクッション機能が低下するため、路面からの衝撃を吸収・緩和することが難しくなり、足全体への負担が大きくなります。この状態を放置すると、様々な足のトラブルや全身の不調に繋がる可能性があります。
【扁平足の症状】
扁平足は、単に土踏まずがないだけでなく、以下のような症状を引き起こしやすくなります。
- 足の疲れやすさ
- 足の痛み
- 長時間の歩行がつらい
- むくみやすい
- 足の変形
- 膝や股関節、腰の痛み
- 神経痛
長時間立っていたり、歩いたりすると、足が疲れやすくなります。
足裏、特にかかとや土踏まずの部分、足の甲などに痛みが生じることがあります。
足裏全体に負担がかかるため、少しの距離でも歩くのが辛く感じることがあります。
足の血行が悪くなることで、むくみやすくなることがあります。
外反母趾や内反小趾、浮き指などの他の足の変形を合併することもあります。
足からの衝撃吸収がうまくいかないため、その負担が膝や股関節、さらには腰にまで影響を及ぼし、痛みとして現れることがあります。
稀に、足の神経が圧迫されることで、しびれや神経痛を伴う場合があります。
「扁平足は遺伝するから治らない」と思われがちですが、実は生活習慣の改善や適切な治療で症状を和らげ、改善できるケースも少なくありません。痛みがなければすぐに治療が必要というわけではありませんが、足や体に不調を感じる場合は、早めに専門医に相談することをお勧めします。
【検査・診断】
扁平足の診断は、患者様の症状や生活習慣の問診、そして丁寧な身体診察を通じて行われます。
- 1.問診:
- 2.身体診察
- 3.X線(レントゲン)検査
- 4.足底圧測定
足の痛みや疲れやすさの有無、いつから症状があるか、スポーツ歴や仕事内容、普段履いている靴の種類などを詳しくお伺いします。
実際に足のアーチの状態(土踏まずの有無や程度)、足の指の動き、ふくらはぎの筋肉の柔軟性などを確認します。また、歩行状態を観察し、足にどのような負担がかかっているかを評価します。
足の骨の並びや、骨の変形の有無を確認するために行われます。足のアーチがどの程度崩れているかを客観的に評価できます。
足裏にかかる圧力の分布を測定し、扁平足によって特定の場所に過度な負担がかかっていないかを視覚的に確認できる場合があります。
これらの検査結果に基づき、扁平足のタイプ(小児性か成人性か)、進行度、そして症状の原因を正確に診断し、患者様一人ひとりに最適な治療計画を立てていきます。
【治療】
扁平足の治療は、症状の程度や原因、患者様の年齢によって異なります。
小児扁平足の場合
幼児期の扁平足は、その大半が成長と共に自然と改善されていきます。通常、治療の必要がないケースがほとんどです。しかし、痛みを伴う場合や、極端な扁平足で改善が見られない場合は、経過観察や簡単な運動指導を行うこともあります。
成人扁平足(症状を伴う場合)
痛みを伴う成人の扁平足に対しては、足への負担を軽減し、症状を和らげる保存的治療が中心となります。
- 1.装具療法(足底板・インソール)
- 2.薬物療法
- 3.理学療法(リハビリテーション)
- 4.温熱療法
- 5.生活習慣指導
最も効果的な治療法の一つです。足のアーチを適切にサポートし、足への衝撃を分散させるためのオーダーメイドインソールや足底板(中敷き) を処方します。これにより、歩行時の安定性を高め、痛みを軽減します。
痛みや炎症が強い場合には、内服薬(消炎鎮痛剤など)や外用薬(湿布、塗り薬など)を用いて症状を緩和します。
専門の理学療法士が、足裏の筋肉やふくらはぎの筋肉を強化し、足のアーチ機能を改善するための運動療法を指導します。また、正しい歩き方や姿勢の指導も行います。
血行促進や筋肉の緩和を図るために温熱療法を取り入れることもあります。
適正体重の維持のための減量指導や、足に負担の少ない靴選び、正しい歩き方など、日常生活でできる改善策についてもアドバイスします。
外科的治療:最終的な選択肢
これらの保存的治療を行っても症状が改善しない場合や、先天的な骨の構造の問題が原因で重度の扁平足を発症している場合には、外科的治療(手術) を検討することがあります。
- 腱移行術
- 関節手術
足の筋肉のバランスを整えるために、腱の位置を移動させる手術です。
足の骨の並びを修正し、アーチを再建する手術です。
手術は最終的な選択肢であり、患者様のご希望や病状を十分に考慮した上で、専門医が詳しくご説明いたします。
【予防】
扁平足の予防や症状の改善のためには、日頃からの足への意識と適切なケアが非常に重要です。
- 足裏・足指の筋力トレーニング
- 足のストレッチ
- 適切な靴選び
- インソール(足底板)の活用
- 適正体重の維持
- 裸足で過ごす時間を作る
足のアーチを支える筋肉を鍛えましょう。
・タオルギャザー: 床に広げたタオルを足の指で手繰り寄せる運動です。
・足指じゃんけん: 足の指でグー・チョキ・パーの形を作る運動です。
・つま先立ち運動: つま先立ちをしてかかとを上げ下げする運動も効果的です。
足裏やふくらはぎの柔軟性を保ちましょう。
・足底筋のストレッチ: 足の指を反らせて足の裏を伸ばします。
・アキレス腱のストレッチ: 壁に手をつき、かかとを浮かせずにアキレス腱を伸ばします。
・クッション性があり、足にフィットする靴を選びましょう。
・ヒールの高い靴や底の薄い靴は、足に負担をかけるため避けるのが賢明です。
・つま先に十分なゆとりがあり、指が自由に動かせる靴を選びましょう。
必要に応じて、足のアーチをサポートするインソールを使用し、足への負担を軽減しましょう。
肥満は足への負担を増大させます。バランスの取れた食事と適度な運動で、体重をコントロールしましょう。
自宅など安全な場所では、積極的に裸足で過ごし、足裏の感覚や足指を使う機会を増やしましょう。
【扁平足の治療は横浜市緑区のかたの整形外科へ】
「足の疲れがひどい」「歩くとすぐに足が痛くなる」「もしかして扁平足かも…」と、足の不調を我慢していませんか? 扁平足は、放置すると足だけでなく、膝、股関節、腰など全身に影響を及ぼす可能性があります。
横浜市緑区にお住まいの方、通勤・通学されている方で扁平足の症状にお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。整形外科専門医が、丁寧な診察と的確な診断を行い、お一人おひとりの足の状態やライフスタイルに合わせた最適な治療プランをご提案いたします。
快適な歩行と健康な毎日を取り戻すために、私たちと一緒に症状の改善を目指しましょう。
【よくある質問】
Q1.扁平足は子供のころに治りますか?
A1.多くの小児扁平足は、成長と共に自然と土踏まずが形成され、改善されていきます。特に痛みがなければ、積極的な治療は不要なケースがほとんどです。しかし、痛みが続く場合や、極端に扁平足が強い場合は、一度専門医に相談することをお勧めします。
Q2.扁平足だと、どんなスポーツをしてもいいですか?
A2.扁平足でもスポーツはできますが、足に負担がかかりやすい状態なので、注意が必要です。特に、長時間のランニングやジャンプを伴うスポーツは、足への衝撃が大きくなるため、痛みを悪化させる可能性があります。インソールの使用や、足裏の筋肉を鍛えるトレーニング、適切なウォーミングアップ・クールダウンを行うことで、負担を軽減できます。不安な場合は、医師にご相談ください。
Q3.市販のインソールでも効果がありますか?
A3.市販のインソールでも、一時的に足の負担を軽減する効果が期待できるものもあります。しかし、扁平足の程度や足の形状は人それぞれ異なるため、ご自身の足に合わないインソールを使用すると、かえって症状を悪化させる可能性もあります。より効果的なインソールを求める場合は、当院で足の状態を評価し、適切なインソールの選び方や、必要であればオーダーメイドのインソール作成についてアドバイスさせていただきます。

