腰椎分離・すべり症
【腰椎分離・すべり症とは】
腰椎分離・すべり症は、腰椎(腰の骨)の一部が分離したり、ずれたりすることで、腰痛や神経症状を引き起こす疾患です。分離症は、成長期の過度なスポーツ活動などにより、腰椎の後方部分に亀裂が入ることで起こります。すべり症は、分離した腰椎が前方にずれることで起こり、分離症が進行することで起こる場合と、加齢による椎間板や関節の変性によって起こる場合があります。
【腰椎分離・すべり症の症状】
主な症状は、腰痛と足の痺れや痛みです。特に、腰を反らせる動作で痛みが増強することがあります。その他にも、以下のような症状が現れることがあります。
- 長時間立っていると症状が悪化する
- 前かがみの姿勢だと楽になる
- 足の力が入りにくい
- 間欠跛行(歩行時に痛みや痺れが悪化し、休息すると改善する)
症状は、分離やずれの程度、神経の圧迫部位によって異なります。
【検査・診断】
腰椎分離・すべり症の診断には、レントゲン検査が有用です。レントゲン検査では、腰椎の分離やずれ、変形などを確認することができます。また、問診や触診も診断の重要な手がかりとなります。問診では、痛みの部位や程度、発症時期などを詳しくお伺いします。触診では、腰の可動域や圧痛の有無などを確認します。
【治療】
腰椎分離・すべり症の治療は、保存療法が基本となります。
- 薬物療法:痛み止めや消炎鎮痛剤などを用いて、痛みを和らげます。
- リハビリテーション:腰や腹部の筋肉を強化し、柔軟性を高めます。
- 装具療法:コルセットなどを用いて、腰を安定させます。
分離が軽度の場合や、ずれが小さい場合は、保存療法で症状が改善することが期待できます。保存療法で症状が改善しない場合や、麻痺などの重篤な症状がある場合は、手術療法が検討されます。
【予防】
腰椎分離・すべり症の予防には、以下の点に注意することが大切です。
- 成長期の過度なスポーツ活動を避ける:特に腰を反らせる動作や、ジャンプや着地動作を繰り返すスポーツは注意が必要です。
- 正しい姿勢:正しい姿勢を保つことは、腰への負担を軽減します。
- 適度な運動:適度な運動は、腰や腹部の筋肉を強化し、腰への負担を軽減します。
- ストレッチ:こまめなストレッチは、筋肉をほぐし、柔軟性を保ちます。
【当院での治療】
当院では、腰椎分離・すべり症の治療として、薬物療法、リハビリテーション、装具療法などを行っています。理学療法士によるリハビリテーションでは、患者さんの状態に合わせた適切な運動療法や生活指導を提供いたします。
【よくある質問】
Q:腰椎分離・すべり症は自然に治りますか?
A:分離症は、骨の成長が止まる頃に自然に骨癒合することもあります。しかし、すべり症は自然に治ることはありません。
Q:腰椎分離・すべり症を放置するとどうなりますか?
A:症状が悪化し、日常生活に支障をきたすことがあります。また、重症の場合、麻痺などの後遺症が残ることもあります。
Q:どのような運動が腰椎分離・すべり症に良いですか?
A:専門家の指導のもと、腰に負担のかからないウォーキングや水泳などの運動を行うようにしましょう。

